今を遊ぶ働きが、もう一つの景色を生み出す
宮内 孝輔さんへのインタビュー
風の人、それはコミュニティの外からやってきてあらたな気づきをもたらす人。土の人、それは、そのコミュニティに根を張り、一つひとつ信頼と文化を育む人。地域をはじめ特定のコミュニティを持続的に発展させるために必要な2つの人材をそう表すことがよくある。はじめて宮内孝輔さんに出会ったときから、彼はそのどちらでもあるように感じていた。都市で飲食店併設ゲストハウスやシェアハウスを複数経営し食の産地と結びつけていた彼。その後は、再生可能エネルギーの研究をしていたり、古民家の移築を計画していたり、直径5mにもなる木製組立式ドームを製造していたり、軽トラックの荷台を住居にしたモバイルハウスを展開していたり、と会うたびに活動は軽やかに、でも根を感じる姿勢で話していた。
地球というコミュニティ単位で生きる人類の創造性、それを彼に探りたいと思った。循環する水の人の姿を求めて。
最近はどんな活動を?
組立式の木製ドームの製造販売、新しいシェアハウスのリノベーションを東京でやったり、既存のシェアハウスをアップデートしたり。
モバイルハウスを広げることにも凝ってます。あとは、いろいろなシェアハウスを1万円で住み放題というのをはじめたかな。
少し前までは、自分のやっているシェアハウスを横展開して拡大していこうと思っていたけど、もうシェアハウスをやっている人はたくさんいるようになったから、これからは横のつながりをつくって、
定額でどこにでも住めるようにしよう、モバイルハウスと合わせて人を移動させよう、そういう取り組みをこの半年ぐらいはやっているかな。
なぜ、シェアハウス事業を拡大する方向ではなく、横のつながりの方向に?
去年、多い時で6軒ぐらいのシェアハウスを回してて。
もちろん売上は伸びるけど、同時にリスクも膨らんでいることを感じて。
リスクをシェアした方がいいな、と。自分は新しくオープンするたびに入居者を集めるけど、
集まる方には何のリスクもないし、出たい時はいつでも出れるわけです。
これを一人で全部背負うのは、全然持続可能じゃないよねということにようやく気づいた。
ずっと入居者を集め続けないといけない、と。
そう。6軒もあると「水道壊れました」「電気つかないです」ということだけでも、その都度行かなきゃいけないし(笑)。
だからそうじゃなくて、既存のシェアハウスをやっている人たちとつながって、みんなで盛り上げていったほうがいいよね、ということにようやく気づいた。
この5年ぐらいはシェアハウスと飲食という2本柱でやってきた。
でも、もう身体も時間も頭も全部それにとられてたからさ。で、去年飲食店の方はやめて、外にあちこち行くように。
自分が外に出て、あらたなつながりをつくりに行こう、と。
リスクのシェアするという発想は、ヒッピー的に移動生活する人にありがちな無責任感、住み着いている人たちがリスクを持って築いてきた信頼関係に土足であがって「ここ嫌」って出て行くような無責任感、がなくなっていいね。住んでる場所場所にも責任を持つ感じがいいと思う。ようするにノマドとか遊牧的という感覚じゃなくて、拠点の拡張、HOMEの拡張という感覚だよね。
そうそう。行く場所行く場所、全部コミットしていきます、みたいな(笑)。
今まで海外旅行するにも、ヒッピー生活するにも、ゲストハウスを探して、お金を払って泊めてもらうという、その関係性しかなかった。
でも、Co-Livingの感覚で、1万円払ったらどこでも住み放題、だけどそれぞれで自分のできることもしてください、と。それをセットに拠点を増やしていく。
それは、提供側と消費者側という区別をなくしていきたいから。
そして、そのことが一つの革命になると思っている。
モバイルハウスは、軽トラックの荷台が家になっていて、もう一台あればそれと連結できるんだよね?
そうそう。それは、SAMPO,Inc.という20代前半の二人が経営している会社と一緒にやっていて。彼らはモバイルハウスのコンセプトを「モバイルセル(Mobile-Cell:MoC」と「House-Core:HoC」という2つの機能で表現している。「モバイルセル」は細胞みたいなイメージで、稼働可能な部分。「ハウスコア」は個人で所有する必要ないものが集約された施設、ようするにシェアハウスと考えている。人間に必要なスペースは、実はごくわずかでいいんだよね。トイレや水道、キッチンは24時間必要ないよね。それをシェアすればいいじゃん、と。その代わり、パーソナルスペースは「モバイルセル」だけにして、動けるようにする。今まで誰もが普通に「アパートやマンションを買うなり、借りるなりして、トイレや水道、キッチンを1人1個用意される」ということが、当たり前のように思っていた。でも、それって別に「当たり前じゃないよね?」と。どちらかというと高度経済成長期にそういう仕組みができたはずで、それを1回ぶっ壊して「本当に必要なものは何だろう」ということを一から考えた。そして、「モバイルセル」と「ハウスコア」というコンセプトに行き着いた。それが、20歳だよ。だから「すげえな」って思って、一緒にやるようになった。
PHOTO BY Kosuke Miyauchi
現在SAMPO,Inc.とともに進めているモバイルハウスは住居と家族の概念を拡張する。写真は軽トラック荷台部分の居住空間の様子。
SAMPO,Inc.の二人は20歳。彼らに出会ってどう思った?
「やばい、もう終わったな」って(笑)。最近、彼らだけじゃなくて、20代前半ですごい人が結構出てきてるな、と感じていて。しかも、彼らも「シェアハウスやりたい」、「コミュニティ作りたい」というところからはじめようとしているから、僕はこれまでやってきたことをそろそろシェアしていこう、と思ってる。自分が大きくなるんじゃなくて、横のつながりをつくろう、と思ったのもそういうところからかな。
サンボの二人に代表される彼ら世代の発想と、孝輔君がずっとやってきたことの重なりを言葉にすると?
やっぱり独立国家(笑)。
何からの?
日本を取り巻く常識からの。代替案というか、並行して存在しうる世界をもうひとつ選択肢としてつくりたい、そう思っている。なぜ、こんなに人を動かそうとするのかというと、人口は減っていく、でもたぶん今のままの日本は移民をあまり受け入れない。
でも、人口が半分になったとしても、人の移動が2倍になれば、まだまだ面白くなれるんじゃないか、と。そんなことを考えていて。さらに、会社に属さなくても生きていける、自動運転が普及する、そういう社会の変化のなかでモバイルハウスが浸透する。
すると、そういう世界も存在しうる。その準備をしています、みたいな(笑)。
これからさらに長寿になるから、既得権益の方々もまだしばらくは元気だろうな、と。なら、
世代交代を望むのはやめて、あたらしい世界を隣につくっておこうか、と。
どういうあらたな価値観を生み出そうとしているの?
最近自分がよく言うのは「拡張家族」。
例えば家族間ではあんまりお金のやり取りってないじゃないですか。
それを他人同士でもできないかな、と。
日本の仕組みも血縁をベースで作られているけど、「それって本当なの?」みたいな。
そもそもみんな繋がってるし。
実際に家族の血縁の絆が昔よりも薄れつつあるなかで、それを代替するのが、ただ住むだけじゃなくて寝食共にしてるなかで本当に家族のようになっていく「拡張家族」。
しかも、仕事もそのシェアハウス内で回るようになったら、家業になる。
もう全部同じ財布でやる、ぐらいまでなれるんじゃないかと感じていて。
目に見える形じゃないけども、そういう意識でやってるかな。
「拡張家族」になった時に、依存先がめっちゃ増える。
頼れる人がめっちゃ増える。
今が孤独社会と仮定するならば、そういう「拡張家族」的な意識、常識になっていくと、もっと楽しくなるんじゃないかな、と思っている。
友達以上家族未満、そういうレイヤーもあっていいのかな、と。
もう既に核家族化していて、本当の血縁は薄れてしまっているから、なら今度は血縁じゃない家族を新しく作れないか、そう思っている。
孝輔くんがかつてレインボーギャザリングに参加して感じていた感覚と、今動いてる感覚は近い?
あ、似てるかも。
レインボーギャザリングの中でも特にポイントだなと思うことが、主催者と参加者の概念がないということ。だから、レインボーギャザリングの価値観が、今の社会のなかに必要とされはじめたのかな、と。
消費者と生産者の境目をなくして、一緒に作ってく、という価値観。
そこでは、全員がリーダーだと思ってる。
社会の中で本当にそれが表現できた時にはたぶん、みんなが馬鹿騒ぎして、警察が来ました。で、「責任者出てこい」と。そうしたら、全員が手を挙げる(笑)。
そういうことだと思う。それが国家を超える概念になるんじゃないかな、と。
決められた価値基準とルールのもとで統制して運営するのが国家だとしたら、それを壊すのがそういう概念。
全員主催、だと思う。
そもそもなぜレンボーギャザリングに行こうと思ったの?
オーストラリアに行っていた時は、ディジュリドゥでバスキング(大道芸)をして生活しながら、あっちこっちのいろんなパーティとか、野外フェスに行きまくってた。
レインポーギャザリングも、そのなかの一つのつもりではじめは行って。
そうしたら「主催者とかいないよ」「え、ステージどこ?」「いや、ないないない。自分で作るんだよ」みたいな(笑)。
それで、価値観がぶっ飛ばされて。すべてのものが用意されているものだと思い込んでいた自分に気がついて。
「あ、つくるってこういうことか」みたいな。
シェアハウスの利用者には自ら動く人と、「言ってくれたら手伝います」という感じの、フォローする人がいるよね?
うん、両方いる。
うちはわりと入れ替わりも多いから、合わない人は早々に去っていくかな。
俺も「なにやったらいいですか?」という人は、ことごとく相手にはしないし。
何も言わず勝手にどんどんやっていく人にアドバイスしていく(笑)。
何も言わずにバンバンやっていく人っていうのが確実にいる。
そして、どちらかというとそっちを応援した方が世の中が早く動くだろうな、と思って。
くれくれ君に構ってる時間があったらそっちに(笑)。
世の中では今の話でいう勝手に動きだす人をリーダーとして増やそうとする。
だけど、孝輔くんの面白いところは、そういう人たちが嫌がらないフォロー、そういう人たちがより楽しくなる部隊をつくるというところだと思う
最初に話したSAMPO,Inc.にしても、あちこち連れ回して、いろいろな人に会わせようとしてるんだけど、彼らから見たら「あなた何者ですか?」、で「いや、ファンです」みたいな立ち位置でやってるかな(笑)。
小さな頃はどんな子どもだったの?
本当によくある普通のサラリーマン家庭。
両親とも九州出身で、東京に仕事で転勤して、親父はサラリーマン街道を突っ走ってた。
マイホームも買って。ちゃんといい高校を出て、いい大学に入って、いい会社に入って、安定した生活を送りなさいよ、という教育を受けてきた。
それに対して不満は?
絶対そうだと思ってた。
本当に?笑
うん。で、20歳になった時に、親父が54歳でガンで亡くなったの。
それが結構転機になったからね。バリバリのサラリーマンの背中を見てきて、「その道しかない」と思ってた。
親父も「引退したらまた旅をしてみたいんだ」とか、そういう夢はよく語ってくれた。
そういうの聞いていて、なんか「すごいなあ」って思ってた。
けど、その引退前に亡くなってしまった。「これで同じ道辿ったら、俺もそうなるんじゃないか」って。
それで20歳の時にめちゃくちゃ悩んだ。
だからその一件がなかったら、今も普通のサラリーマンをやっていると思う(笑)。
それからの1年間ぐらいは鬱状態で、目の前の景色は常に灰色みたいな。
何食べても美味しくないし、誰といても楽しくない。
そこまでは「自分結構いい線いってる」みたいな、そういう生き方だった。
それが全部崩壊しましたね。
それでバックパッカーに?
そうそう。夏休みに母親からも「ちょっと海外でもいってみたら」と勧められて。
1ヶ月間東南アジアを、シンガポールINのバンコクOUTの1ヶ月のチケットを取って、
1人旅をした。で、その時にいろいろなところで衝撃を受けまくって。
自分はその時、何を食べても何をしても「面白くねえなあ」という感じ。
でも、マレーシアのスラム街では子供達がめっちゃ楽しく遊んでる。
自分は恵まれて、何不自由のない生活しているのに、なんでこんなつまんなそうにしてるんだろうな、と思って。
今まで固定された価値観のなかでエスカレーター的に生きてきたんだ、と気づいてすっごい傷ついて。
「うわ、もったいねえ」と思った。
それからかな。そのあと、デディジュリドゥと出会って「あ、もうこれしかねえな」って。
それで、その場で大学は1回休止して、就職とかそういうのも全部ゼロにして。
「ディジュリルだけ1年、がっつりやってみよう」と。
これまでのなかで、孝輔くんの価値観を体現した瞬間を教えてほしい。
たぶん、一つ目のシェアハウスをつくった時がそうだったと思う。
当時はシェアハウスという言葉自体なかったから、どこも物件を貸してくれないし、自分もシェアハウスって言ったもののよくわかってないし(笑)。
とにかく物件を100軒ぐらい見まくって。なんとか物件が決まって。
シェアハウスだけじゃなくて、さらにそこに、飲食店もぶち込もう、と。
飲食経験なんかぜんぜんなかったけど(笑)。
とにかく、ぐわっとやって、ギリギリでオープンできた。
すぐに潰れるよって周りも思っていたと思う。
だけど、昔の旅仲間がぐわって集まってきて、あっという間に部屋が埋まったの。
その時の感じ。既存の価値観じゃない生き方の人が集まってきた、その時の感じ。
その価値観を言葉にすると?
「Give & Give」みたいなものかもしれない。
シェアハウスができる間際までは「もうどうすることもできねえ」「もう資金も全部尽きてるわ」「諦めよう」って自分がなった時に、すごい奉仕してくれた。
それでなんとかオープンできたから「GiveされたからGiveしよう」と。
「その循環で大きくしてこう」と思った。それが本当に体現できた。
体感としてもてた。それまではレインボーギャザリング的な価値観が、社会のなかでも通用するのか、と自分自身も疑心暗鬼、むしろ「無理なんじゃねえか」ぐらいだった。
でも、その価値観によって実際にオープンできちゃった。
社会のなかで表現できちゃった。もう「このまま行こう」みたいな。結構覚悟は決まったかな。
一番守りたい続けたい価値観は?
そのスタンスは絶対に崩せないですよね。
例えば、ある特定の権力者に追従する形で、へりくだりながらものつくるなんていうことは絶対にしたくない。
なんていうか、意思のある人たちが集まればなんでもできる、と思っている。
だからお金とかいろいろな経営資源がなくても、ゼロベースでも実はなんでもできる、と思っている(笑)。
最初から「Take」を考えなくても表現できるよってことを示したい、という気持ちもあるのかな。
今の常識では、商売を考える時に、最初に「Take」を考えてしまう。
それだと、恐怖によって行動できなくなってくる。だって他人から何かをもらおうとしてるから。
「断られたらどうしよう」、「受け入れられなかったらどうしよう」って。
でも「Take」より先に「Give」を先にしちゃった方が簡単なんじゃないかな、と思うな。
「Give & Give」でやっていくなかで、Takeだけの人にも出会うと思う。そういう時はどうしてるの?
結局は自分はGiveしかないから。
その総量を圧倒的に増やすしかない。
そういう自分でいると、そういう人を引き寄せるし、そこを信じきるしかいない(笑)。
「Give & Give」の大切さは頭ではなくて、体験として理解することが大切なんだろうと思う。
お母さんが息子にご飯を作ってあげる。
それには、お金とか取らないでしょ。
その感覚に似ているかなあ。
こっちも食べてほしいから作ってるんじゃなくて、自分が作りたいからどうぞ、みたいな。
自分がやりたいからやってるだけなんだよね。
身を削って何かを与えるんじゃなくて、溢れたものを「Give」する感覚かな。
本能的に人が喜んでると嬉しい、みたいな。たぶんそこだけだと思う。
だから、どれだけ「Give」しました、とかじゃなくて、「みんなが喜んでたら楽しいなあ、だからやってます」ということを連続させていくのが本当は理想的かなあ。
前時代的な価値観に基づく説得をしてくる人たちに対しては?
すっごい親身に聞いてるフリをする(笑)。
シェアハウスの中でも、そういう人はいて。
自分で解決策を全部わかっているのに、あえて相談してくる人とか。
結局その人は承認欲求をただ満たしたいだけ。
そのマインドセットにいる限りは、創造的にはなれないよね、と思っている。
ただ俺に認めてほしいだけだったら、それはなんの役にも立たないから、徹底的に相手にしない(笑)。そんな思考回路持っていても何にもならないよ、ということを相手にしないことで伝える(笑)。
創造的でいることを大切にしているの?
うん。
やっぱり、何かに支配されるのではなくて、ゼロからイチをつくる人が周りにいたら自分は幸せだなあって思うから。
そのためには、承認欲求のマインドセットから抜けないといけないから。
「もっと大きなことあるだろう」みたいな。
そして、そういう人をサポートしたいなって思うから。
この世界を美しいと思う瞬間は?
今まで作ってきたシェアハウスとかお店とか、全部ギリギリで作ってる。
もう「数時間後にお客さん来るんだけど」という状況ばかり。
その最後の最後で、火事場の馬鹿力を出した時は、「これは美しい」って思うかなあ(笑)。
途中で喧嘩もするし、仲違いもあるけど、ある共通の目標ができた時に、どわってみんなでつくる。
「できんじゃん」って思う。みんながワクワクするも共通の目標が、実際ギリギリ成し遂げられた瞬間。
やっぱりギリギリじゃないと面白くない(笑)。
こらからやりたいことは?
生活様式を拡張させること。モバイルハウスもそう。
ワンルームに水周りがついてる、既存の価値観だけじゃなくて、個室が移動しちゃうとか、スペースをシェアするということを、もっと広げていきたい。
全国の空き家を全部ハウスコアにしようと思っている。
あと最近は、もうこっちからは歩み寄りませんっていう感じかな。
物件を1個借りるのにも、こっちが譲って譲って交渉して、という感じでやってきたけど、もう最近は交渉しないという感じになった。
実は今度、「0円で借りる」というプレゼンをしよう思っている(笑)。
普通に「家賃いくらで借ります」という話じゃなくて、もう「0円でとりあえず貸してください」って。
その代わり、売り上げの何パーセントを、というかたちでリスクシェアしましょう、と。
若手で店をやりたい人とか事業をやりたい人にタダ同然で入ってもらって、そこからの生産物を還元する。
それをオーナーと組めたら、それが雛形になって各地に広がっていくんじゃないかな、とおもって。
今までの「家主へ定額の家賃を払って借りる」ということ、「それって常識なんすか?」と。
これからさらにボコボコ空き家が増えていくのに、未だに、売買と定額の賃貸という選択肢しかない。
それはいくらなんでも、少なすぎやしませんか、と。
はじめのハードルを下げることで絶対生まれるものはあるから、それをシェアしましょう。
オーナーと使う人が対等の立場になるような仕組みをつくろうと思って。
オーナーも定額家賃が入ってくるのを待ってるだけじゃなくて、入居者と積極的に関わって、「俺も若い頃はな」といろいろなアドバイスをして、一緒に関わってもらう。
そういう不動産を流動化できる仕組みをつくりたい。
それもさっき話してた主催者と参加者、提供者と受益者の区別がなくなる瞬間だね。
そう、溶かしてやるみたいな。
これまでの価値観のままだと経済的な収益が増えない。
そういうことが、いろいろな分野で増えてきた。その代表格が不動産。
そこにはクリエイティブが必要。
そう。空き家になるとどんどん傷んでいくし、誰も住まないなら、タダでも住まわせた方が実はオーナーにとってもいいしね。
クリエイティブはお金だけでは買えないからね。自由度を提供しないと。
うん。その空間とその場とその人だけでできる。しかも一過性じゃなくて持続的に発展させていく。
そういうクリエイティブが必要だね。
仕事も遊びも一緒だよね。自分もシェアハウスやるようになってから、プライベートと仕事の区別がないし。
暮らしの中から新しい商品も作っていくべきだし、今まで消費者と言われていた人たちが創造者になるべきだし。
そうすると、プライベートと仕事の垣根は無くした方がいい。
ということは、遊びと仕事の垣根もない。そう、最近よく後輩の子たちにいうのは「今を遊べ」と。
震災以降特に「今を生きる」という言葉がすごく流行ったけど、もうそれだと生温いな、と思って。
「今を生きる」のは当たり前で、もっと遊ぶということが大事かな、と。
大企業じゃなくても、個人でできることがすごく増えた。かといって、既得権益が崩れるにはまだまだ時間がかかる。
だから今はホバリング期間。今のうちに創造的な遊びをしまくって、来たる日のための準備をしておこう、みたいな。
それはただ生きてるだけじゃダメで、でも苦行を積むということでもない。
だから「遊べ」と。結局そういうところからしかいいものは出てこないんじゃないかあ。
遊びだと思って楽しくやってるから人も集まってくる。
これからは人が減っていく時代だから、人が集まってくることの価値がすごくあがると思うと、仕事じゃなくて遊びをベースにした方がいろいろうまくいくように思う。