中川さんの代名詞とも言える商品である「シャンパンクーラー」は、桶である。円形ではなく、涙型であったり、波打っていたりするけれど、全ては桶と同じ技術、細かな板を釘一つ使うことなく、たがで締める、それだけでできている。
工芸とは何なのか?または、アートとは何なのか?中川さんの生み出してきた品々は、木という素材が有する自然美と可能性を驚愕の域まで引き出す技とともに、そんな問いかけまでを宿している。手に取る者の、心を奪う、と同時に、価値観を静かに揺さぶる。そんな品々をつくる職人。彼の試みを支えている意思は何のか。人間国宝である父から受け継ぐものは何のか。世代を超えた創造の世界に生きる彼が見据えている景色を知りたいと思い、中川さんの工房を訪ねた。