あと30年もすると日本の人口は1億人を下回ると言われている。私たちは人口減少時代に生きている。人口増加時代に築かれた現在のさまざまな職業像は、これから当然その質の変更を余儀なくされるだろう。その筆頭にあたる職業の一つが、建築家ではないかと思う。家庭はもう増えないし、必要な建物を私たちは大方手にしているのだ。その変化の兆しを体現している建築家を探し、そして出会ったのが榊原充大さんだった。周囲からは「建てない建築家」と推薦を受けた。そして彼は「建築家/リサーチャー」という肩書きのもとに活動し、展覧会を企画実現したり、雑誌をつくったりしていると聞く。「建てない建築家」には、他のさまざまな職業観をシフトするヒントがあるような気がして、彼が展示企画で関わるロームシアター京都で待ち合わせした。

榊原さんは打ち合わせと打ち合わせの合間の時間をくれた。常にこうして軽快に泳ぐように、人から人へと移動していることが、彼のバックパックと水筒から感じられた。そこには忙しさは感じられない。その日も彼にとっては普段着の一日、という感じだ。ひとしきりPLAY ONの主旨を聞いて大きく賛同してくれた。特に「芸術よりも芸術的なことがある」という言葉には、深く頷いてくれた。