食に宿る美は儚い。食べ物は自然界の恵みを形にしたものなので、もちろんその姿を不変に留めることはないし、なにより私たちが口にすることでまた自然界に戻るもの。その刹那をまさに味わい愉しむために、私たちは食文化を育んできた。杉山早陽子さんがつくりだすお菓子は、そのことを雄弁に物語る。杉山さんは、鉱物や植物が宿す美しさをお菓子に置き換え、自然界の美しさを味覚をも含んだ五感を使って味わうことを可能にしてくれる。それは、私たちがもつお菓子のイメージや暗黙の設定のうえでは、味わうことのできないあらたな刹那。伝統的な和菓子の技術のうえに繰り広げれられる創造性を、言葉でも味わいたいと願い、屋号「御菓子丸」として活動する杉山さんの工房を訪ねた。