緋蘭さんは人の話をよく聞く。1 時間でも2時間でも、本当によく聞く。そして、彼女のなかで何かが満ちたかのようなタイミングで、聞いた話を絵にしていく。描かれた絵は、話された世界の構造や成り立ちを的確に示す。その世界地図はとてもシンプルなものではあるけれど、話の等高線はもちろん、歴史も人々の営みも、次に起こるであろうささいな事件すら描かれているかのように感じる。まだ誰も見たことのない世界を案内できる力。その力の源が気になっていた。さらに最近は「夏至と冬至の日には、近所のみんなとお祭りを一からつくったりしています」と愉しそうに話している。国内外で数々のデザイン賞を獲得してきた国際的なデザイナーでありながら、夢中で「祭りづくり」を愉しむ彼女にとってのデザインが知りたい。 既存の「デザイナー」という価値観のパズルとは合わないピース、その一片一片を丁寧に合わせていくことで、既知感のない「デザイナー」の姿が見えてくるかもしれない。そう感じながら、「ユカラの家」と名付けれらた京北町にある彼女の棲む茅葺屋根の古民家を訪ねた。